コラム「ようこそサイドシートへ」
ようこそサイドシートへ
モビルスーツが乗用兵器であるならば、どんな乗り心地なのだろうとふと考えた。スペースコロニーをぼこぼこと浮かべている科学水準でも、MSはどうやら人が操縦しないと動かないシロモノらしいから、それぞれにクセや特徴がきっとあるはずだ。

 ザクやジムなんかは、乗ってもさしたる面白みのないオートマのFFだろう。量産型なのだから、万人に受け入れられなければ意味がない。となれば、あのシャアが満足するわけがない。彼なら、アバルトあたりがチューンしたタイプR仕様なんかを選ぶだろう。ザクにそんなもんがあればの話だが。そこへいくとガンダムはやっぱり、ハイパワーのFRという気がする。素人はまず乗りこなせない。乗りこなしたと思っても、コーナーの出口なんかで急に暴れだしたりなんかして(ズルッ、クルッ、ドカン)。Zガンダムになるともっと扱いにくい。言うなれば、NSXあたりのMR。嫌になるくらいアンダー/オーバーが交互に来て、ほとんどのパイロットが「こんなもん乗れるか!」とキレてしまうだろう。だがそこはそれ、一旦乗りこなしてしまえば最強のウェポンとなること間違いなし。更に上をいく百式なんかは、もうロードゴーイングGTしかない。まさに乗り手を選ぶMSである。パワーもスピードも他のMSの比じゃないが、トラブルがきっと多いことだろう。アストナージが頭抱えて「こりゃ本社送りですよ」とか言ったりして。さて、ここまで書いておいて残るは一つ、リックディアスは何に当てはまるだろうか。

 そこそこ性能がよくて、面白みがあって、乗りやすいとくれば、四駆のラリーベース車だろうか。インプレッサのWRX(STIでないとこがミソ)か、ランエボ3。もしかすると、アルテッツァみたいなFRセダン、あるいはMR2のような小粒でちと辛いボーイズレーサーのようなタイプかもしれない。いずれにせよリックディアスは、ニュータイプではない我々でも乗りこなせそうな車、じゃなくてMS、ではある。私、実は無免許です)